照千一隅への道のり

男の仕事


昨夜は、久々に吞んだような気がする。

1軒目で、地酒をグラス4杯。2軒目で、同じく地酒を7杯か8杯くらい。2人で一升くらい呑んだような気がする。そう言えば締めに米焼酎もロックでいったような気もする。

まあそれくらいいい時間だったということ。



付き合ってくれたのはI氏。ほぼ同年代の男性。

I氏も私もモテ男なので、いつも飲みに行くときは女子供がついてくる。「たまには男二人で行きましょうよ。」とお誘いして昨日の呑み会となった。


呑みながらいろいろなことを話した。細かいことはいちいち書かないが、仕事のこと、家庭のこと、仕事で出会った人や出来事、親父さんたちの時代のことから今の若者のことまで、色々話をした。知り合って数年経って初めて、ゆっくりと互いのこれまでと今を共有した。

改めて男の仕事というものを考えされられた一夜だった。




仕事とはなんだろうか。生活費を稼ぐための活動だろうか。生きがい探しの活動であろうか。他になにか目的があるものであろうか。何十年と自分の貴重な人生の時間の大半を費やす仕事とは、一体どういうものであればいいのだろう。


I氏には7歳年上の兄がいる。I氏の兄は父親から家業である町工場と共に、借金も相続されたそうだ。ちょっとやそっとの借金ではない。目ん玉が飛び出すのを慌てて押さえなくてはならないほどの金額だった。

この家業と借金を、兄上が一身に背負い、弟であるI氏もできる限りの協力をして、近頃ようやく返済の目処が立ってきたらしい。誠にお疲れ様です、と思わず頭を下げたくなるお話を聞かせていただいた。


I氏は自分で商いをされているが、兄上の工場が忙しい時は手伝いにいくこともあるという。「もちろん兄上もそういう時は現場作業されるんですよね。」と訊くとそうではないらしい。兄上は現場にいる時はいつもスーツ姿。現場作業は絶対にしない。その代わり営業力は抜群で、びっくりするほど仕事をとって来るらしい。

「兄上の営業と他の人と、何が違うんでしょう。」と重ねて訊くと、「迫力でしょうね。」とI氏は答えられた。背負っている物が違うんだと。莫大な借入金を背負っているからこその迫力が成果に繋がるのであろうと。例え兄弟であっても、社長として家業を継いだ兄と、手伝いの自分では迫力は全く違う、ともI氏は言われた。



そうか、と思ったのである。

仕事とは背負いに行くこと、そういう仕事の向き合い方もあるのだと改めて納得した。不幸にもI氏の兄上は、絶望的なほどの借金を親から引き継がれた。自分が作った借金じゃない。例え工場の為の投資であったと頭では納得しても、いざ月々の返済額をみると、心がくじけそうにもなるだろう。実際にくじける人のほうが多いだろう。

しかし兄上はくじけない人だった。親の作った借金を自分の人生の中に受け止め、自分の仕事として返済のための懸命の努力をされた。借金もプレッシャーも全てわが身に背負われたのだ。

世の中にはこういう仕事の向き合い方もある。ただ単に生活費を稼ぐための仕事ばかりではなく、誰も責めずに責任を背負い込むような仕事の向き合い方もある。

「個性のきつい兄ですから、昔から今に至るまでぶつかることも多々あるんですが、結局兄が借入金を背負ってくれているから、僕はこうして自分の生活をできるんです。兄が自殺したり自己破産したら、借入金は僕のところに来るわけです。」

だからずっと振り回されながらも兄上を支え続けてこられたのだと、I氏は話してくれた。



やはり男の仕事は、生活費だけではもの寂しい。

背負うのだ。背負えるだけ以上のものを常に背負い、自分を鍛える。先の保証なんて何一つない。あるのは自負心のみ。それでも戦うのが仕事の醍醐味じゃないだろうか。

家族は大事である。家族を食わせるのは男の責任かも知れない。でも無事に食わせればそれだけでいいと思うか否か。家族を背負うのは当たり前。当たり前以上のことを背負いに行く、そんな男の仕事があってもいいのではないだろうか。


そう考えてみると、いつの間にか私の仕事もそうなってきていることに気付かされる。

家族の安泰だけが絶対条件ではない。場合によっては肉親の縁を断ち切っても仕事を貫かねばならないこともある。周りの人になんと言われようが引き下がらない。男の仕事はそう簡単には降ろせない、そういうものだと考えはじめている。

世の男たちが好きな、坂本龍馬も真田幸村も自分の仕事の為に肉親を捨ててきた。彼ら自身も天寿を全うできなかったが、果たしてそんな運命を呪っただろうか。おそらく逆じゃないかと思う。

時代錯誤と言うならそれでもいい。でも男の仕事は本質的には、変わらない。男と女という二つの性別がある限り、男だからこその仕事があるはずだ。時代が変わってもそれは変わるもんじゃないだろうよ。



そんなことを思った夜だった。










弘晃

055.gif: wagoichi◆excite.co.jp (◆を@に)
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066.gif昨日の丹錬
・無呼吸木刀100回
・よさこい四股100回

066.gif今日の丹錬
・重刀100回
・力士四股100回


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# by wagoichi | 2016-11-22 15:00 | 人生



「原点が導くこれから」という感じでしばらく探り書きです。

by 三宅弘晃
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