照千一隅への道のり

カテゴリ:世界( 3 )

マジョリティの危機




とある方に会いに行った。

今、丹足を世に出そうという検討を重ねている。修得しやすいわりに、癒し効果が絶大で、しかもコミュニケーションの助けにもなる丹足は、孤立化が進み、様々な病に悩まされる現代社会への大きな助けになるのではないか。そう考えてのことだ。

NPOという形もいいかもしれない。もとより丹足で稼ごうなどという考えはない。丹足の技術がちゃんとした質を保って人々に伝わり、適切に活用されることが私の願いなのだから、非営利団体の枠組みでやっていくのには違和感がない。

さて、そうなると色々と調べないといけない。

NPOってどういうものだろうか。どうやって作ってどうやって運用すればいいのだろか。またNPO以外のやり方もあるのだろうか。実際にNPOで社会貢献活動をしている人の実感とはどんなもんだろうか。

今はネットである程度の情報は調べることができる。また「NPOもいいが、一般社団法人という形もいいですよ」とそういうことを教えてくれる人もいて、リサーチは進む。ある程度進んだところで、その道のプロの人に相談しようということで、伝手を頼って相談にのってもらうことにした。

その方は社会福祉事業に携わられて40年ほど、NPO法人や一般社団法人を3つ運営されている。ちなみにNPO等には実体の怪しい団体もあるようだが、この方はそういう類の人では全くなく、主に身障者と災害被災者への支援活動をずっとされている。

「こんな人も居るんだな」

というのが私の第一印象であった。

実際お話をしてみて、私はいかに自分が社会の一部しか知らないかを痛感した。


義務教育をそこそこの成績で通過し、親のすねをかじって大学までやらせてもらい、一部上場企業に入社して4年働き、脱サラして「先生」と言われる仕事を15年。飢えるほど貧乏した経験はないし、大きな病気も経験していない。家族や友人にも恵まれているし、家も大きくも小さくもない普通の大きさである。

そんな人生を歩んできた私が属するのは、いわゆる中流階級とも呼ばれたり、勝ち組と言う人も居るかもしれない世界である。日本社会で一番メジャーな層に属していると言っていい。

この方の向き合う人たちは、いわゆるマイノリティと言うべき人たちだそうだ。マイノリティといっても身障者や被災者だけではない。薬物やアルコール中毒者、ギャンブル依存症者、同性愛者や性同一性障碍者、生活保護を受けている人たち、精神病患者など様々な人たちとの付き合いがあるという。

その方が言うには、マイノリティの人たちは、全然違うタイプであっても同じところにあつまる傾向があるのだそうだ。考えるに、マジョリティに入れない、あるいは入りたくない人達の居場所が今の狭い日本では限られているのかもしれないし、もしくはマジョリティの圧力が強すぎて、とにかく助け合わないと立ち行かないのかもしれない。

ともあれ私が会いに行った方は、そういうマイノリティの人たちが集まる場を確保し、国やマジョリティからの支援を集め、それぞれの自立を支援する活動を40年続けられている。

「これまで出会ったことのないような人が色々いるから面白いよ。はじめは大変だけどね。」

と笑う。

「でもマイノリティといっても、東大卒も京大卒も阪大卒もいっぱいいるよ。精神を病んでこっちに入ってくるんだけど、初めはプライドが高くて大変よ。だんだん受け入れるけどね。」

とまたまた笑う。この人強いなと見惚れた。

私の話を聞いてもらった。

私はマイノリティの助けをするつもりではないんだ。マイノリティの人たちも大変だけれども、実はマジョリティも危ういんだ。マジョリティも自分達の生活の維持に必死すぎて、社会全体のことを考えて暮らす人が少ないように思う。まず自分ありき。余裕があれば人のことを助けてあげる。そんなスタンスで自分のことばかり第一にする人間は、結局自分を殺していくことになる。そのことに気付いていないだ。そしてそういうマジョリティの風潮が、結局マイノリティの暮らしに毒をまき散らしていることもあると思うんだ。未来ある子供を病ませていくことも実際にあるんだ。

一気にそういう話をしたところ、「ありますね」と私の目をじっと見て応えられた。

「ああ、この人は気付いているんだ。全部知っているんだ。」と、その一言で私は理解した。



私は以前、身近な人や千照館の門人さんたちに「善良人のエゴ」という話をしたことがある。

「私は毎日真面目に働いて暮らしています。誰にも迷惑をかけるようなことはしていません。他の人よりも善良に暮らしているつもりです。まだこれ以上何かしないといけないのですか。」

私が「自分のことばかりではなく、もっと社会を助けに行こうよ」と言ったときに、そういう答えを言う人が何人もいた。私はそれを「善良人のエゴ」と感じた。

頑張って働いて、ある程度の水準の暮らしを手に入れた人たちが、あとはその水準の維持だけを考えて暮らす。ある程度の獲物がいる縄張りに属すライオンが、他の飢えているライオンの存在を知りながら、自分の縄張りを守ることだけに必死なのと何が違うのか。

私が言う「善良人のエゴ」とは、そういう意味だ。

「善良人のエゴ」は、知らぬ間に弱者を追い詰めている。それだけじゃなく、自分自身の心を病ませる。そして未来を潰す。そこに気付いているマジョリティがどれだけいるか、行動するマジョリティがどれだけいるか、今の日本は、いや世界は「善良人のエゴ」を問われているんじゃないかと思う。

この方はすでにそれを知っていたから、私の話を容易に理解してくれた。


ちなみに私がマイノリティではなく、マジョリティを救おうとするにはもう一つ理由がある。

マイノリティの人たちは確かに困っていることが多いが、その分だけ助けも数多く入ってくる。ボランティアも集まりやすいし、寄付金も集まりやすい。地震の被災地を見ればそれがよくわかる。ある意味わかりやすい面がある。

だから継続性などの問題もあるとは思うが、マイノリティに対する支援意識が高い人もまだまだ世の中には沢山いる。


しかしマジョリティはそうではない。極度に生活に極度に困窮しているわけではないし、あからさまな身体的不自由があるわけではない。一見、助けの必要性など感じさせない人たちが大部分である。

しかし、例えばお金はあっても、食事がレトルト食品や菓子パンばかりでじわじわと病気の種を育てているマジョリティはいないか。そういう食生活で成長して心身を病んでいくこどもはいないか。今は一見平気でも、10年後に治らない病気になる可能性がどれだけあるか。そういう分かりにくい危機をはらんでいるマジョリティに対する関心も、心配も、知恵もほとんど無いように思える。本人も周りも気付きにくいだけで、そこに危機は確実にあるのに。


私はそこに何らかの警鐘を鳴らす人間がもっと必要なのではと考えている。「おなか元気ばなし」講演会もその一環だった、誰も手を付けないからこそ、しなくてはいけないと思う。少なくともマジョリティが無自覚に無関心に未来を毒していることだけでも伝えたい。考え合いたい。

「でも危機が見えないから、お金も人も集まりにくいだろうと覚悟はしてるんですけどね。」と言うと、「そうでしょうね」とその方は静かにうなずいた。それでも色々と知恵を出してくださった。


何をしたらいいのか、まだ全貌は見えない。

今はしっかりと考えを練る時期。

最終的には動きながら考えていくしかないだろう。


人のハラも難しいが、人の社会もまた難しい。












三宅弘晃

emoticon-0179-headbang.gif今日の丹練
・階段四股100丹
・四股200丹
・かちあげ四股200丹


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by wagoichi | 2017-03-21 17:28 | 世界

日本人の拠り所


あなたは「拠り所」をもっているだろうか。

「拠り所と言う場」は少し特別な意味を持つのかもしれない。「たまり場」とは違う。拠り所には共通の感情や感覚があるがたまり場にはそれがない。「寄り合い」ともまた違う。拠り所には、皆が心を寄せる中心があるが、「寄り合い」には中心がない。寄って集まっているだけである。

今の日本社会を見渡してみるに、「たまり場」や「寄り合い」は無数にあるが、近しい感情や感覚を持つ人たちが中心をもって集まる「拠り所」というべき場所が非常に少ないことに気付く。(だからこそその反動として新興宗教が力を持つのかもしれない。)



私はいつの頃からか、「拠り所」という言葉に思い至り考えるようになったのだが、そのきっかけは天皇制である。学校で教えられる「天皇は象徴である」というフレーズ、何度聞いてもしっくりと来ないでいたのが、ほんの数年前に「拠り所」という言葉に行き当たった時、スッと腑に落ちた感覚があった。

考えてみれば「象徴」というのはとても不可解な定義である。捉えどころがなく、どのように受け取り、どのように向き合ったらいいのかとても分かりにくい。すごく大事なようで、すごく遠い。ともすれば実在さえしないような気さえする、そのような感覚を持たされそうになる。


しかし今の天皇陛下は決して遠い存在で終わろうとされていないように感じる。地震や津波で大きな被害を受けた地域に足をお運びになり、一人一人目を合わせて声をお掛けになる。それを望まぬ人もいるだろうが、目に涙を浮かべて感動する人は多い。「ありがたい。またがんばるぞ。」と力を得られた人は日本中に無数にいるのではないだろうか。

はたしてこの役割を総理大臣に肩代わりできるだろうか。総理大臣は政策面で復興の後押ししつつ時に被災地にも足を運ぶが、天皇 皇后陛下の前で目を潤ませている人たちの顔を見るに、そこに総理大臣とは違うなにか特別の感情があることは明らかであろう。


今日本の天皇制は大きな岐路に立っている。象徴と言う分かりにくい存在から、憲法改正を経て「元首」といういかめしい存在に変えることも模索されているという。それには天皇陛下ご自身はあまり賛同されていないとも漏れ聞く。

一方で生前退位の検討もされている。天皇陛下のご意向をどうとらえるかは難しいが、私はまず象徴とは何ぞやということからもう一度考えてもいいと思う。天皇陛下御自身のこれまでのお言葉と行動を考えてみるに、天皇陛下の考える象徴とは「日本人の拠り所」たらんとお考えになっていると感じてならない。元首として御簾の奥に鎮座されるよりも、苦しんでいる国民ひとりひとりのもとに足を運び、顔をみて勇気づけ、心の拠り所になることを志しておられるように映る。

もしそうであるならば、高齢のために国民の身近へ足を運ぶのがままならないというのは、天皇陛下にとってなにより不本意であろうことは想像の及ぶ範囲である。摂政に代役が務まるはずもないのもまた明白である。

生前退位は、決して政治や法律の論理だけでなく、これまで日本人が歴史を通して培ってきた精神性、今のそしてこれからの天皇と国民の関係性、そういうところからも丁寧に議論されることを願ってやまない。














三宅弘晃

emoticon-0179-headbang.gif今日の丹練
・四股500丹

emoticon-0179-headbang.gif昨日の丹練
・四股700丹
・重刀200丹
・旋風重刀100丹

emoticon-0179-headbang.gif一昨日の丹練
・四股300丹
・重刀200丹

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by wagoichi | 2016-12-20 12:18 | 世界

AI医療と職人仕事


「近い将来タクシーも自動運転化されて、僕らの仕事はなくなるんです。でもこの業界は年寄りが牛耳っているから、誰も先のことなんて考えないんです。」

とぼやいたのは、先日乗った若いタクシードライバーだった。



人工知能(AI)が人間を凌駕し始めている。タクシードライバーのいうように、車の自動運転は既にカウントダウンに入っている。将棋はAIカンニング疑惑に揺れているし、金融業界でもAIの活用は進んでいると聞く。

今まさにHOTなAI。これからしばらく「AIの功罪~悲喜こもごも~」という類のニュースが世界を駆け巡ることでしょう。



これは医療の分野も例外ではない。IBMが開発しているAI、Watson(ワトソン)君が、60代女性の急性骨髄性白血病に対する診断と治療法の判定で、人間のミスを救ったと発表があったのは今年の8月4日。

引き続き3か月後、4日前の記事。



読売新聞 2016年11月08日

<政府は、人工知能(AI)やロボットを使った医療行為を2020年度から診療報酬の対象とする方向で検討に入った。>

<AIには、人間では不可能な量の膨大なデータを分析できる強みがある。>

<世界中の研究論文や、国内の医療機関に蓄積された診断事例などをAIに学習させ、医師に適切な治療法を提案させる>



いよいよ日本政府も、本気でAIの医療活用を後押しし始めるようだ。AIを医療に活用する、つまりそれは医師の仕事をAIに任せていくよ、という宣言。

<人間では不可能な量の膨大なデータを分析できる強み> が活用されれば、薬の処方などには相当な威力を発揮するだろう。誤診も減れば患者としてはありがたいことこの上なし。外科手術などでも、正確無比なオペが期待できる。

しかしその一方、<AIに学習させ、医師に適切な治療法を提案させる> には医師は背筋が寒くなる思いだろう。「提案させる」から「指示する」へと移行しない、そんな保証はどこにもない。

はてさてAI時代に人間の仕事は残っているのだろうか。


そんな期待と不安の入り混じるAI社会だけれど、AI化によってより存在感を増す仕事もある、という未来予想図も私には見える。


AI時代により存在感を増す仕事は何か?




それは職人の手仕事だ。


AIの強みは、膨大なデータを記憶できること。一人の人間が一生かかる記憶を一瞬で行ってしまえること。でも覚えるだけでは意味がない。オンリーメモリーである。

AIの真骨頂はここから。詰め込んだメモリー倉庫の整理である。この場合はこの棚、あの場合はあの棚、という風に一定の規則によってデータを「標準化」する。この「標準化」されたデータを、目の前の仕事例に当てはめて処理していくのである。

私はAIの専門家じゃないから多分に想像の世界ではあるが、「標準化」こそがAIの実態であろう。

そしておそらくこの世の仕事の過半は、このAIの「標準化」で置き換えることが出来ると言われる。



しかしだ、手仕事は難しいよ。

例えば、私のやっているおなか揉み。百年後にAIがターミネーター級まで進化したとして、果たして私を凌駕できる仕事ができるかと言えば、答えはまず間違いなくNOである。少なくともターミネーターでは私のようにおなかは揉めない。

根拠は2段階ある。


まず1段階目。

おなかは生命活動の源であるから、とても複雑であるということ。おなかに手を触れていると、手の中でおなかは刻々と変化し続けている。一秒前と今のお腹は違う。便もガスも移動しているし、胃液や粘液も分泌している。動脈はぎゅっぎゅと流れているし、静脈はとうとうと流れる。心臓の鼓動に揺れ、肺の収縮で上下する。

これ以外にもさまざまな要素がお腹に影響を与え続けている。おなかは全身とつながり、全身からの影響を絶え間なく受けている。しかもそれが人ぞれぞれ違う。同じ人でも昨日と今日では違う。

違う、違う、違うだらけで、同じ要素を見つけることは不可能なのが人のおなか。これを経験に基づく「感性」で解していくのがこの仕事。こんな仕事をどう「標準化」する?できる?という問題がある。




そして第2段階目。

もし仮に、想像以上にAIが進化して、「おなかの生命活動」を標準化することに成功したとする。それでもやはりAIは私にはかなわない。

なぜか。

それはおなかに触れるには、「精神的体温」が必要だからだ。


人が人に触れる時、生き物が生き物に触れる時、そこには物理的説明では測れない何かが存在する。

辛い時、苦しい時、悩んでいるとき、人に背中をポンポンとしてもらうだけで楽になることがある。咳込んでいるときに背中をさすってもらうと楽になる気がするのは、決して手のマッサージ効果だけでは測れない何かがあるからだ。

「ああ、この人に心配してもらえている。」「好意を持ってもらっている。」そういう精神的な温かみが手を通して伝わってくる。この精神的体温といも言うべきものが、AIに再現できるだろうか。

ターミネーターみたいな医師を相手に、精神的体温をどれだけ感じられるだろうか。AIが手仕事を越えられないのは、まさにここである。



そもそも、医療がAIにとってかわられる危惧があるのは、医師が患者を人間として扱っていないという現状にも原因がある。

多くの人が言う。「最近のお医者さん、パソコンばかり見て触診なんてしてくれない。」と。こういう不満はずっと前からあったはずだ。それを放置してきたんだね。

人間が人間のかかわり、人間の手仕事を否定してきた。なんでも機械任せにし、作業効率だけを追求してきた。仕事が内包する精神的体温を過小評価してきた。そういう仕事からAIに駆逐されていくのだろう。





AI時代には職人に追い風が吹く。

AIの襲来によって、これまで疎かにしてきた職人の手仕事に、改めて関心を持つ人は増えることだろう。なんでもAIなんて人生味気なくていやだ!という人も増えると思われる。

AIによって、廃れそうな職人の手仕事がきっと復活する。


私個人もおなか揉みターミネーターが開発されたら面白いだろうなという期待もある。将棋やチェスのように、AIが挑戦してこないかなと楽しみにしている。

もちろん、ターミネーターに半べそかかしてやるつもりである。








弘晃

emoticon-0154-mail.gif: wagoichi◆excite.co.jp (◆を@に)
HP: わごいち(←クリック)

emoticon-0165-muscle.gif今日の丹錬
・四股300回
・無呼吸重刀100回


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by wagoichi | 2016-11-12 15:08 | 世界



ようやく癌解説2つ目完了。3つ目が・・・3つ目が大変なんだよ。テーマは決まっているが、どう伝えたらいいのか。。。。ああぁぁ
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