照千一隅への道のり

玄人はだし

今日は2か月に1回の、わごいちスタッフのお楽しみ、蕎麦の日。

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「玄人はだしという言葉は、この蕎麦のためにある。」と言いたくなる達人の蕎麦を皆でいただく。

福井県勝山から蕎麦を仕入れ、ベランダの石臼でひき、客に振舞う。1日1組、4名までの限定蕎麦である。割したは20年以上継ぎ足しらしい。商売ではない。あくまで蕎麦好きの一心で20年以上蕎麦を打ち続けておられるご主人の蕎麦はまさに絶品である。


このご主人の蕎麦を食べるたびにプロとは何なのだろうか、と考える。

かつては少年野球チームのオーナー兼コーチをされていた。ゴルフの腕前はかなりらしい。独学で習得したハーモニカを手に老人ホームの慰問を続け、自宅工房で着物をリサイクルして行燈を作る。わごいちの行燈はこのご主人のところから2か月替わりでレンタルしている。

とにかく人を驚かせ、喜ばせ、笑わせるのが大好きなご主人である。こんなエネルギッシュで明るい人がいるものかと、いつも話していると自分もつられて元気になっているのを感じる。

そんなご主人が打つ蕎麦がまた旨い。私は蕎麦通というような者ではないが、このご主人の蕎麦より旨い蕎麦を知らない。


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聞けば、これまでうまい蕎麦屋があると知れば必ず食べに行ってきたそうである。食べに行き、蕎麦がイマイチならばつゆだけ飲んで帰る。つゆがイマイチならば蕎麦だけ食べて帰る。蕎麦もつゆもイマイチならば全部残して帰る。お勘定の際に「評判ほどじゃなかったね」と笑って言い残して帰るそうである。その代わり本当に美味ならば通い詰めて、丁々発止の会話を主人と繰り広げながら味を盗むそうである。

世の蕎麦職人のどれほどがこういう当たり前の努力をしているだろうか。


しかし何度も言うが、このご主人はプロの蕎麦職人ではない。無類の蕎麦好きなのである。

プロとは、職人とは何であろうか。





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〆の大盛取り分け親子丼。「今年の蕎麦粉の在庫が尽きたから」だそうだ。


蕎麦粉が尽きたらその年の蕎麦打ちはおしまい。他の産地の蕎麦粉で補ったりしない。商売じゃないんだから、蕎麦粉が尽きたら仕事仕舞いなのである。

プロの蕎麦屋ではそうはいかないよなあ。「蕎麦粉ないから、新そばまで店閉めるよ。」なんて言ってたら、そのまま永久に店を閉めたままになりかねない。店がつぶれないように利益を確保しながら、味を作っていかなくてはならない。ましてやこのご主人のように1日4人までなんてなかなかできない。

でもだからと言って、商売だからと言って、材料も手間も妥協してしまうプロが多すぎる様にも思う。「そんな手間かけてたら商売になんねーや。」「いい材料使いたいよ。でもいい材料使って利益出すのは無理だよ。」と言いながら、化学調味料を平気で使うプロが多いのもまた悲しき現実。



職人はやはり素人の延長にありたい。

あくまで素朴な興味から始めたい。はじめから稼ぐための仕事ではなく、まず興味から入りたい。興味を持ってやってみて、やってみたら難しくてでもそれが面白くて、やればやるほど発見とさらなる深みに直面して、もう益々どっぷりとはまり込んで、気が付いたら30年職人やってた、そういう仕事でありたいと思う。





近頃は本当にえせプロが多い。一見こだわり風のえせプロなんかも多いから余計にややこしい。本当のプロ中のプロはごくごく一部のように感じる。そしてそんな本物のプロが、一見素人の中に居たりする事もある。いや大いにありうる。実にややこしい(笑)。

こんなややこしい社会に暮らす私たちは、看板や評判に左右されず、大いに自分の眼を養って本物を見つける力をつけたいものである。グルメサイトの口コミ評価も金次第とされる時代である。何が正しいのかわからなくなってきている。

同時に職人志望者も、どう自分が修業を積むかはよくよく考えた方がいい。「だれでも2年で1人前に」なんてキャッチコピーにはくれぐれも要注意である。それはつまり「誰でもなれる程度の職人にしかなれない」と言っているわけだ。



「新そばきたら連絡するよ!」

と、ご主人の次のお誘い。


「君にもこの蕎麦を食わせてやるよ」

と私に言わせる若い才能が出てくる日を楽しみにしている。








弘晃

055.gif: wagoichi◆excite.co.jp (◆を@に)
HP: わごいち(←クリック)

066.gif今日の丹錬
・階段四股100回
・四股400回


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by wagoichi | 2016-11-30 16:14 | 職人
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「原点が導くこれから」という感じでしばらく探り書きです。

by 三宅弘晃
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