照千一隅への道のり

効率学習と鍛錬


昨日は月に一度の無楽整体塾。太ももの外側と内ももの丹足を稽古。さらに四股踏み指導と、鍛錬について話をした。



日本の教育において「効率学習」という言葉をよく耳にするようになった。弱点を分析し、最も効果的なアプローチによって最短距離で学習効果を実現する。そんなところだろうか。

その一方であまり耳にしなくなった言葉もある。「鍛錬」である。千本ノックとか、素振り百回とか、腕立て百回とかうさぎ跳びとか、論語素読とか、そういうのはもう流行らない。

筋力を強化したければ、スポーツジムでパーソナルトレーナーの下でマシントレーニングに励むのが一般的である。(書いてみるとやけにカタカナが多い。)

何もこの傾向は野球やサッカーなどの西洋生まれのスポーツに限らない。最近は国技相撲であってもマシントレーニングをする力士も少なくない。

スポーツ科学的観点から作りこまれたマシンで、専門知識を持った指導者の下で、できるだけ効率的に、短期間で最大の効果を得られることを目的に練習メニューを組み立てるのが主流となっている。

この効率化はスポーツの世界だけに限らない。学校教育や受験教育において「効率学習」は空気のごとく当然のものであり、学生は「効率学習をしよう」なんてわざわざ意識さえしなくとも普通に効率的学習を享受できる。

厳しい競争社会に於いては、人よりも効率的に勉強したり練習したりすることこそが、勝利への秘訣なのであろう。



しかしその一方で、なんでもかんでも「効率」が一番とは限らないのが、生き物の世界の面白みである。

例えば下に紹介するのは、我が弟子 紙鳶の丹足風景である。



e0359411_15431705.jpg

何気なく軽やかに相手を踏みほぐしている。実際に紙鳶はこの丹足を4時間も5時間も連続で続けることができるくらいだから、軽やかに踏んでいるのは間違いない。軽やかに深く効かせるのが丹足の真骨頂である。

丹足のポイントは軸足、この写真で言えば右足にある。ある程度低い体勢を維持しながら体全体を上下反復運動を続けなくてはならない。それを軸足の内ももで支え続け、動かし続ける。

と、書いてしまえば簡単だが、実践するのはそう簡単ではない。

軸足が安定しない。普段多くの人は外重心で動いているので、内ももを使うことに慣れていない。「内ももを使うってどうやるの?」丹足に挑戦し始めたほとんどの人は、まずその壁にぶつかる。そして軸足が安定しないと踏み足がどうしようもなくなる。

「どうして外重心ではいけないのか、内ももじゃないと何故だめなのか?」という問いに対する答えは今日は控えるが、結論から言うと、丹足稽古は「内ももを使えるようになること」そして「内ももを使い続けられる強さを養うこと」が肝要であり、この二つの課題は、地道な鍛錬なしでは克服できない。



我が無楽整体塾の門人たちを見ていると、やはりこれまでの効率学習の習性を色濃く感じる。忙しい日常で、月一回の限られた稽古で、たまの自主練習で、いかに効果的に上手くなるか、そこへ関心が向きがちである。

一方で日々の鍛錬はまだまだのようである。「毎日休まず百丹(100回鍛練)してるか?」と訊かれて「はい!」と目を輝かせる門人がまだまだ少ない。5分あれば四股100回くらいは踏めるのだが。

この辺が現代日本のひ弱さを表しているように感じる。肝っ玉もちんちんも小さくなる一方である。


効率学習の目標というのは、極言すれば「ほどほどのところ(設定目標)まで達成する。」ということだと思う。受験勉強は、志望校に合格するレベルに達せれば良い。設定目標までの最短距離を志向するのであって、例えば合格レベルをはるかに超えて、教科書にのっていない深みまで興味をもって学問するのは、効率学習では良しとされない。

世の全ての学びにこの効率学習が適用されれば、世の中とてもつまらなくなるのではないだろうか。みんなほどほどの人生。世界もほどほど。大して違いがない。深みも面白味もない。



なぜ私は「鍛錬」を語るのか。

それは自分が「これだ」と思うものくらいは、効率学習を超越したいからである。ほどほどの目標に向かってぼちぼち頑張るなどと言う頑張りは、受験と仕事の中だけで充分なのだ。今われわれの人生に必要なのは、終わりなき鍛練への挑戦であり、たゆまざる自分自身の更新ではなかろうか。




私の元では小賢しい学習は要らない。
鍛錬あるのみである。








弘晃

055.gif: wagoichi◆excite.co.jp (◆を@に)
HP: わごいち(←クリック)

066.gif今日の丹錬
・四股300回
・無呼吸重刀100回

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by wagoichi | 2016-11-20 19:09 | 教育
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「原点が導くこれから」という感じでしばらく探り書きです。

by 三宅弘晃
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