照千一隅への道のり

AI医療と職人仕事


「近い将来タクシーも自動運転化されて、僕らの仕事はなくなるんです。でもこの業界は年寄りが牛耳っているから、誰も先のことなんて考えないんです。」

とぼやいたのは、先日乗った若いタクシードライバーだった。



人工知能(AI)が人間を凌駕し始めている。タクシードライバーのいうように、車の自動運転は既にカウントダウンに入っている。将棋はAIカンニング疑惑に揺れているし、金融業界でもAIの活用は進んでいると聞く。

今まさにHOTなAI。これからしばらく「AIの功罪~悲喜こもごも~」という類のニュースが世界を駆け巡ることでしょう。



これは医療の分野も例外ではない。IBMが開発しているAI、Watson(ワトソン)君が、60代女性の急性骨髄性白血病に対する診断と治療法の判定で、人間のミスを救ったと発表があったのは今年の8月4日。

引き続き3か月後、4日前の記事。



読売新聞 2016年11月08日

<政府は、人工知能(AI)やロボットを使った医療行為を2020年度から診療報酬の対象とする方向で検討に入った。>

<AIには、人間では不可能な量の膨大なデータを分析できる強みがある。>

<世界中の研究論文や、国内の医療機関に蓄積された診断事例などをAIに学習させ、医師に適切な治療法を提案させる>



いよいよ日本政府も、本気でAIの医療活用を後押しし始めるようだ。AIを医療に活用する、つまりそれは医師の仕事をAIに任せていくよ、という宣言。

<人間では不可能な量の膨大なデータを分析できる強み> が活用されれば、薬の処方などには相当な威力を発揮するだろう。誤診も減れば患者としてはありがたいことこの上なし。外科手術などでも、正確無比なオペが期待できる。

しかしその一方、<AIに学習させ、医師に適切な治療法を提案させる> には医師は背筋が寒くなる思いだろう。「提案させる」から「指示する」へと移行しない、そんな保証はどこにもない。

はてさてAI時代に人間の仕事は残っているのだろうか。


そんな期待と不安の入り混じるAI社会だけれど、AI化によってより存在感を増す仕事もある、という未来予想図も私には見える。


AI時代により存在感を増す仕事は何か?




それは職人の手仕事だ。


AIの強みは、膨大なデータを記憶できること。一人の人間が一生かかる記憶を一瞬で行ってしまえること。でも覚えるだけでは意味がない。オンリーメモリーである。

AIの真骨頂はここから。詰め込んだメモリー倉庫の整理である。この場合はこの棚、あの場合はあの棚、という風に一定の規則によってデータを「標準化」する。この「標準化」されたデータを、目の前の仕事例に当てはめて処理していくのである。

私はAIの専門家じゃないから多分に想像の世界ではあるが、「標準化」こそがAIの実態であろう。

そしておそらくこの世の仕事の過半は、このAIの「標準化」で置き換えることが出来ると言われる。



しかしだ、手仕事は難しいよ。

例えば、私のやっているおなか揉み。百年後にAIがターミネーター級まで進化したとして、果たして私を凌駕できる仕事ができるかと言えば、答えはまず間違いなくNOである。少なくともターミネーターでは私のようにおなかは揉めない。

根拠は2段階ある。


まず1段階目。

おなかは生命活動の源であるから、とても複雑であるということ。おなかに手を触れていると、手の中でおなかは刻々と変化し続けている。一秒前と今のお腹は違う。便もガスも移動しているし、胃液や粘液も分泌している。動脈はぎゅっぎゅと流れているし、静脈はとうとうと流れる。心臓の鼓動に揺れ、肺の収縮で上下する。

これ以外にもさまざまな要素がお腹に影響を与え続けている。おなかは全身とつながり、全身からの影響を絶え間なく受けている。しかもそれが人ぞれぞれ違う。同じ人でも昨日と今日では違う。

違う、違う、違うだらけで、同じ要素を見つけることは不可能なのが人のおなか。これを経験に基づく「感性」で解していくのがこの仕事。こんな仕事をどう「標準化」する?できる?という問題がある。




そして第2段階目。

もし仮に、想像以上にAIが進化して、「おなかの生命活動」を標準化することに成功したとする。それでもやはりAIは私にはかなわない。

なぜか。

それはおなかに触れるには、「精神的体温」が必要だからだ。


人が人に触れる時、生き物が生き物に触れる時、そこには物理的説明では測れない何かが存在する。

辛い時、苦しい時、悩んでいるとき、人に背中をポンポンとしてもらうだけで楽になることがある。咳込んでいるときに背中をさすってもらうと楽になる気がするのは、決して手のマッサージ効果だけでは測れない何かがあるからだ。

「ああ、この人に心配してもらえている。」「好意を持ってもらっている。」そういう精神的な温かみが手を通して伝わってくる。この精神的体温といも言うべきものが、AIに再現できるだろうか。

ターミネーターみたいな医師を相手に、精神的体温をどれだけ感じられるだろうか。AIが手仕事を越えられないのは、まさにここである。



そもそも、医療がAIにとってかわられる危惧があるのは、医師が患者を人間として扱っていないという現状にも原因がある。

多くの人が言う。「最近のお医者さん、パソコンばかり見て触診なんてしてくれない。」と。こういう不満はずっと前からあったはずだ。それを放置してきたんだね。

人間が人間のかかわり、人間の手仕事を否定してきた。なんでも機械任せにし、作業効率だけを追求してきた。仕事が内包する精神的体温を過小評価してきた。そういう仕事からAIに駆逐されていくのだろう。





AI時代には職人に追い風が吹く。

AIの襲来によって、これまで疎かにしてきた職人の手仕事に、改めて関心を持つ人は増えることだろう。なんでもAIなんて人生味気なくていやだ!という人も増えると思われる。

AIによって、廃れそうな職人の手仕事がきっと復活する。


私個人もおなか揉みターミネーターが開発されたら面白いだろうなという期待もある。将棋やチェスのように、AIが挑戦してこないかなと楽しみにしている。

もちろん、ターミネーターに半べそかかしてやるつもりである。








弘晃

emoticon-0154-mail.gif: wagoichi◆excite.co.jp (◆を@に)
HP: わごいち(←クリック)

emoticon-0165-muscle.gif今日の丹錬
・四股300回
・無呼吸重刀100回


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by wagoichi | 2016-11-12 15:08 | 世界
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ようやく癌解説2つ目完了。3つ目が・・・3つ目が大変なんだよ。テーマは決まっているが、どう伝えたらいいのか。。。。ああぁぁ
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